2012年3月アーカイブ
以前フィルター透過率測定の様子を紹介しましたが,今日は別な装置を使って測定したので,その紹介をします.
HSC で使っている干渉膜フィルターは,光の入射角によって透過波長が異なります.
前回の装置はすばる望遠鏡の主鏡からやってくる光束を模した F/2 の収束光で測定するための測定系でした.
メーカーではすばる用の特殊な光束を使って測ることはできませんから,メーカーの測定値を検証するためには平行光で測定する必要があり,今回の測定装置は平行光で測れるようになっています.こちらの装置は大型なので HSC のフィルタを丸ごと収納できます.(YU)
すばる望遠鏡の主鏡や,HSC の姿勢の制御のために波面を測定します.波面検査装置としてシャック・ハルトマン(SH)・フィルタを紹介しました.
今日の写真は,SH フィルタを立ち上げ時用に改造したものです. 本来,視野の半分が検査装置で,残りの半分は必要がないので遮光板を置いて宇宙からやってくる光を遮ります.この遮光板の部分に通常の天体観測で用いられる u, g, r, i, z フィルタをいれ,波面検査をしながら同時に視野端の星像の検査もできるように開発した多目的なフィルタ形状の装置です.(YU)
(参考)普通のフィルタ
すばる望遠鏡の主鏡の直上である主焦点に設置される Hyper Suprime-Cam は,カメラ自体が発する熱のせいで自身が観測の妨げになり得ます.それを防ぐために熱交換システムを搭載しています.
今日紹介する写真は,その熱交換システムによってエレキラックから取り出した熱を,冷却水で排熱するための配管の耐圧試験をやった時のものです.後ろに写る高圧タンクで,試験用に定められた通常よりも高い圧力を一定時間配管にかけ,漏れがないか調べました.万が一に備えて,エレキラックの中の部品には緩衝材を被せたので普段とは違う様子に見えます.(YU)
現在すばる望遠鏡があるハワイ島の山麓のヒロ市の実験室で,9月末に三鷹キャンパスから出荷されたフィルター交換機構 (FEU) の改修・調整が進んでいます.
山頂での作業は空気が薄いために厳しいのでヒロで出来る限り調整した後に山頂に運びます.(YU)
分光光度計の箱は,本来,測定で使う光以外の外から来る環境光の遮光のために使います.ところが,昨日紹介した HSC フィルターの測定の様子を見れば明らかなように,測るものが大きすぎて遮光の箱はまったく役に立ちません.
というわけで,実際のフィルター測定中は今日の写真のように,光学系が隠れるように暗幕をかけ,さらに暗室で部屋ごと暗くして測定します.(YU)
先日,Suprime-Cam 用のフィルター透過率測定についての記事を書きましたが,今日は HSC 用フィルターの測定の様子です.
測定に用いる装置は Suprime-Cam 用のと同じ分光光度計です. Suprime-Cam も市販の分光光度計に特別に作られたアダプタを使うことで測定を行うのですが,HSC フィルターは大きすぎるため分光光度計の箱(背後に見える蓋の空いた白い箱)の中に収まりません.そこで,写真のように,箱の外まで透過率測定用のビームを出して測定できるアダプタを制作しました.(YU)
今日もエレキラック紹介シリーズの続きです.鏡面形状や HSC の姿勢をはかり,補償するために波面センサーがあります.スペースの兼ね合いからフィルターと同じ形で作られ,フィルターの一つとして搭載されます.これをシャック・ハルトマン・フィルターと呼んでいます.
このフィルターによる波面検査時にもオートガイドが必要で,オートガイド用のビデオカメラが搭載されていますが,解析するためにそのビデオ信号を制御棟にある制御計算機に送信しなければなりません.望遠鏡から制御棟までの距離が長いため,伝送距離をのばすために光ファイバーを使っています.今日の写真はその変換機の写真です.(YU)
今日の写真はイオンポンプのコントローラです.
HSC は運用中にすばる望遠鏡の主鏡の約18m上にある主焦点に搭載されます.通常の真空ポンプは稼働時に振動を伴うのですが,このイオンポンプは振動することなく真空を維持することができます.(YU)
(参考)真空引き中の真空ポンプ