2011年9月アーカイブ

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調整・改修試験審査会が続いていたフィルター交換機構(FEU)が無事に運送会社に引き渡され,国立天文台三鷹の先端技術センターの実験室をあとにしました.
HSC 開発組の技術員さんの華麗なフォークリフトさばきで,瞬く間にトラックが FEU の各パーツを収納する木箱でいっぱいになりました.前回の輸送と同様にショックセンサーで輸送の衝撃を測りながら慎重にハワイに向けて運ばれていくはずです.無事にすばる望遠鏡のあるハワイ観測所にたどり着いてくれるといいですね.FEU のあった実験室はすっかり物がなくなってしまってちょっぴり寂しいです.(YU)

FEU 出荷作業中

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先日の FEU 受け入れ審査会で出荷が認められたので,今日は FEU のハワイ観測所への出荷に向けての梱包作業を行いました.
人の大きさよりも大きな装置ですので,一つ一つ慎重にバラバラにして,箱詰めするという作業です.2日かけて行う予定です.(YU)

ガラス窓に交換

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今日はアルミ蓋から準備中だった窓ガラスに載せ替えました.
ようやく中の様子を見ることができるようになりました.紫色に見えるのが CCD でグレーの穴が開いた板がコールドプレートです.
窓から CCD に熱が流入するのですが,今の時点では焦点面が CCD で埋まっていないために本来の流入量とは異なってしまいます.これを合わせるために,ところどころアルミ板やアルミホイルで調節しています.
今日からまた冷却を開始し,週明けには光を当てて画像を取得する試験を行う予定です.(YU)

FEU 受け入れ審査会

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今日はフィルター交換機構 (FEU) の受け入れ審査会がありました.
ここでいう受け入れとは,三鷹キャンパスの HSC 開発組から,運用を担当するハワイ観測所側への引渡しに際する受け入れのことを指しています.
FEU が問題なく動くか,すばる望遠鏡への搭載手順の確認,トラブル時の対応法,なんらかの事故が起こった際の復旧手順などを確認しました.ハワイ観測所側の審査に無事パスしましたので,今週中にハワイに向けて旅立ちます.
写真は審査会中の一コマです.ケースを外し,フィルターを押し出してカメラ前面に装填する「トラクター」という部分を見ています.身ぐるみを剥がされてチェックを受けている FEU でした.(YU)
スクリーンショット 2011-10-04 19.49.31.png
取得した画像を表示・確認するソフトウェア(zview)のHSC対応も進んでいます。

Supime-Camを作ってからほぼ10年が経ち、計算機はずいぶん速くなりました。全体のCCD画像を読み込んで表示するまで約20秒、拡大・縮小してからの再表示はほぼ一瞬で完了します。左図では、CCDがインストールされている場所だけ色つき画像が表示されています。ひとつのCCDは4個のアンプから読み出されているので、ストライプ4つが一つのCCDに対応します。実際の配置と比べて見て下さい。両端の4個と横になっている1個以外は表示されているのが分かると思います(SM)。


データチェック

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真空容器が冷えたので CCD 画像が沢山取得できるようになりました.昨日はX線照射試験をやり,現在は連続運転の試験をしています.
今日の写真はデータ検証中の一コマです.13インチのノートパソコンではたくさんの画像を表示しながら検証するのが大変なので,大きな外部ディスプレイが威力を発揮します.(YU)

X線源試験

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写真 11-09-21 15 35 55.jpg
台風のせいで三鷹の森も大荒れですが,今日も HSC を育てています.
先日記事にした新しい蓋で真空引きが目標に達したので,早朝から冷却を開始し,今日はX線源をつけて撮像する試験を行いました.
X線源をあてるかあてないかで,X線の照射をコントロールします.急遽スケジュールした実験なので,治具が十分ではなくX線源をあてるのが大変でした.写真の姿勢のまま180秒支えていて待ってもらい,画像の取得試験を数回行い,目的の画像を得ることが出来ました.(YU)

エレキラック

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これは「エレキラック」と呼んでいるコンポーネントの写真です.カメラ部に搭載された CCD を制御したり,冷凍機を制御して温度管理をするための装置など,さまざまな装置がのせられています.実際はカメラ部の後方に載せて観測します.

日曜日に真空ポンプのスイッチをいれて,真空容器の真空引きを開始しました.真空度が十分になってきたので,今晩か明朝には冷却を開始し,新しい蓋での撮像試験を行う予定です.
(YU)

新しい蓋

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昨日の記事で制作の紹介をした,新しいアルミ蓋を早速取りつける作業を行いました.
見づらい写真で申し訳ないのですが,銀色のアルミ蓋の真ん中の部分が交換可能になっていて,その部分を入れ替えました.水色のテープ部分に線源をはめ込んで,X線を検出する試験を行う予定です.

再度,真空引きをし,-100度まで冷却して週明けには試験画像を取得する予定です.(YU)

機械加工

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HSCカメラを組み上げている、国立天文台先端技術センターには、工作機械が数多く導入されています。HSCプロジェクトもお世話になっているのです。

この写真は、アルミ製窓の中央部に加工を加えてもらっているところです。2 mmの穴を空けてもらい、そこを100ミクロン厚のBe箔で塞ぎます。そこを通してX線をデュワーの中に入れて、CCDとエレクトロニクスの校正を行うためです。この試験、本番機では当初予定していなかったのですが、最近のミーティングで念のため行ったほうがよかろうという結論になり、急遽セットアップを組むことにしたのです。センターの工場に無理を聞いてもらい、加工していただきました。どうもありがとう!(SM)

真空容器の窓ガラス

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これは真空容器の窓ガラスです.
CCD はノイズを減らすために真空容器で冷却します.当たり前ですが CCD 面まで金属の容器にすると天体の光を通すことが出来ません.そのために CCD 面だけは写真のような窓ガラスをつけています.
真空によって破壊が起こらないように厚みは 37mm あり,天体からの貴重な光をできるだけ失わないようにするために透明度のよいとても均質な光学ガラスを使っています.(YU)

FEU改修作業開始

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feuworkwasiaaenginners.jpg今日、台湾からエンジニアがやってきました。フィルタ交換機構(FEU)の一部を改修するためです。
FEUは先日の動画のとおり可動範囲が大きいので、ケーブルの長さに余裕(余長)をもたせています。ただ、この余長部分が風や重力によって思わぬ方向にいくと、動いたときに挟み込んで断線など障害が起こる可能性があります。そこで、今回改修を行うことになりました。結果どうなるかは今週末の作業完了後にまたご報告します。(FU)

中秋の名月

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今日は十五夜ですね.綺麗に空が晴れ渡ったので天文台からもお月見が出来ました.月が綺麗ですね.
Suprime-Cam の視野は34分角x27分角の矩形なので,すばる望遠鏡の集光力でおよそお月様一個分(直径0.5度=30分角)の空を一度に観測することが出来ます.
Hyper Suprime-Cam が完成すると,その視野は直径1.5度の円形なので,お月様のおよそ9倍の空を一度に観測することができるようになります.めずらしい天体も探しやすくなり,新発見が期待できます.(YU)

CCD 像の検査

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今回の冷却試験で得られた試験画像を検査しています.
現在はアルミ蓋をしていますので光が入っていません.キレイな天体画像も写っていない単調なノイズ画像を,故障がないか,変なノイズなどがないか,1枚1枚検査しています.116 枚 CCD があるのでなかなか骨の折れる作業です.
写真は長時間積分した時の画像です.白い点々は真空容器やアルミ蓋を突き抜けてきたり,容器自身から出る,ガンマ線や高エネルギー宇宙線が検出されたものです.(YU)
今日は特別に動画です.以前の記事で紹介したフィルター交換機構 (FEU) の動作の様子です.台湾の ASIAA をはじめとするグループによって製作されました.観測時は縦てた状態ですが,フィルターを交換するときには動画のようにスタッカーを倒し,フィルターを交換します.(YU)

調整

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冷却水の流量をモニタしている流量計が正常な値を示さなくなってしまいました.原因を調べるために,デジタルマルチメータで信号を調べているところです.今回は幸いすぐに原因が分かりました.
組み上がるに連れてだんだんと複雑なシステムになってきたので,問題が起こった時のトラブルシュートが大変になってきています.(YU)
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真空容器の左横にある赤い箱は「ターボ分子ポンプ」と呼ばれる真空引き装置です.銀色の配管で紺色の真空容器に接続されています.この大型のポンプを使い,HSC のカメラ部である真空容器の中の空気を排出し,真空度を高めて断熱します.カメラとして運用するときには,振動源になってしまうのでターボ分子ポンプは外され,イオンポンプと呼ばれる別な真空引き装置を使って高真空を保ちます.
ターボ分子ポンプの約1週間の働きにより,目標の真空度を達成しました.
ちなみに写真は真空引き最中のものです.(YU)

輸送

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真空容器実験のほうは目標の真空度に到達するまでもうしばらくかかりますのでお休み.
今回は補正光学系がハワイに到着したニュースがあったので,今回は6月に行った大移動の紹介です.HSC は国立天文台をはじめとする研究機関,三菱電機,キヤノンの共同で開発しています.三菱電機が担当する主焦点ユニットとカメラ部(フィルター交換機構も含む)の結合試験を行うために,三菱電機の工場へ6月末から7月末まで引越しをしていました.精密機械なので専用のコンテナを使い,衝撃を測りながらの輸送を行いました.無事に到着し約一ヶ月の試験を経て,無事三鷹の天文台へ戻ってきました.(YU)

ソフト開発部隊

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写真 11-09-02 17 15 09 (HDR).jpeg
真空容器の方は,目標の真空度を達成するためにしばらく様子が変わらないので,今日はソフト開発部隊の紹介です.
104枚の CCD で取得した画像から装置固有のノイズや光学系の歪みなどを取り去り,一枚の綺麗な写真につなぎあわせ,観測者が天体を研究しやすい形にするためのソフトを開発します.写真に写った天体の明るさや,その場所等を正確に決めるために頭を捻らせています.(YU)

番外編

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今日は少し番外編です.
エレキボードと CCD の接続をしているときに「厳しい作業の体勢が続きます」と書きましたが,その厳しい作業の体勢がこの写真です.
エアコンは効いているのですが,クリーン度を上げるためのファン音や,全身のクリーン着,それから足の間から伸びるコードが見えると思いますが,CCD 等を壊さないために静電気を逃がすための静電対策コードを腕に巻き付けていたりしながら,精密な作業をこのような姿勢で続けるので大変なわけです.大きな視野で観測するのもなかなか大変です.(YU)